1.
春よりも秋に咲く コスモスが好きだった
八月の思い出を 八枚の花びらが慰めた
いつかしらコスモスの種一つ 髪に紛れたまま
鈍行列車の片隅に ゆれる若者の影あった
失恋と言うたった二文字の 言葉を消すために
地図も持たない 着替えも持たない旅・・・
見知らぬ街を漂ってみても 人混みの中に紛れても
誰もが貴方に見えてきて 心の傷はまだ深い
暮れ落ちる岸壁を 若者は見つめてる
コスモスの種がヒラリと 舞い降りたのを
知るよしもなく
2.
秋よりも春に咲く コスモスが似合っていた
四月の思い出を 五枚の花びらが散り去った
数えてみれば今まで何一つ いい事などなかった
夜行列車の片隅に うつむく若者の影あった
生命と言うたった二文字の 言葉を消すために
記憶おぼろな 二度と帰らない旅・・・
岸壁に身体を吸い込まれる時に 揺れるコスモスの花びら
雨に風に耐えながら 懸命に生きている
明け昇る岸壁を 若者は見つめてる
コスモスが強く生きよと 僕に人生を
教えてくれた
たかが植物と侮ってはいけません。総ての存在物は自他ともに生きとし生かす二重目的
によって存在しているのです。自分自身も生きながら他も生かす、コスモスとして咲き誇り
ながら、時には人の生命を救う事も出来るのです。
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